病院からのご挨拶

病院事業管理者からのご挨拶

令和4年3月31日付けをもって8年間務めた院長を退任し、令和4年4月以降はこれまでに引き続き事業管理者として勤務致しますのでよろしくお願い致します。なお、新院長には齋藤太郎が就任いたしましたので、一層のご支援をいただきますようお願い致します。

黒石病院は、自治体病院(市立病院)であるとともに国民健康保険の病院でもあります。市立病院として黒石市から繰入金をいただき、国保連合会から種々の助成金をいただいて病院経営を行っています。地域住民だけではなく、国保加入者をも対象とした健康増進、医療を担っております。そのため、採算性よりも公共性を重視した医療も担っていかなければならない立場にあります。その点が、利益追求を第一主義とする民間病院や民間企業と異なるところです。とはいえ、自治体病院といえども利益を度外視して病院経営することは許容されることではありません。当院では、経営コンサルタントを入れることにより、物品・医療機器や薬剤の購入など多くの場面において、価格的に適正で効率的な経営を目指しております。また、DPC制度を導入し、医療の標準化や透明化、医療の質的向上を図っております。

当院では、平成22年4月から事業管理者が設置されております。これは、この時に地方公営企業法の一部適用から全部適用へと移行したことにより設置が義務付けられたものです。事業管理者は経営の責任を負い、組織・体制に関する権限、職員の採用に関する権限が認められています。一部適用の病院では、こういった権限は地方公共団体の長(市長など)にあるわけです。また、全部適用の病院では、職員の給与に関しても経営状況などを考慮した後に、労使交渉を経て決定してよいことになっています(例としては収益の多い部署や診療科の職員の給与を独自に上げることができる:能力給制度の導入など)。ただ、この点に関しては、全国的に全部適用の病院が増えてきた昨今でも地方公務員の給料表に則って給与を決定している病院がほとんどのようです。これは、たとえば診療科の評価を単純に収益のみで比較しようとすると、診療科によって扱う疾患が異なり、診療単価も大きく異なっているため不公平が生じます。かつ、公共性など数値化が難しいものも評価対象にしなくてはならない点が挙げられると思われます。

今後は、これまで通り外来診療は続けながら、新院長による病院運営を経営責任者として経営面や人事面でできる限りサポートしていく所存ですのでよろしくお願い致します。

DPC制度:入院患者さんの病名や診療内容に応じて定められている、一日当たりの定額の医療費を基本として入院全体の医療費の計算を行う「包括払い方式」です。

黒石市国民健康保険黒石病院 病院事業管理者 相馬 悌

院長からのご挨拶

令和4年度より相馬前院長の後任として当院の院長を拝命致しました齋藤と申します。よろしくお願い申し上げます。

当院は黒石市、平川市、田舎館村、青森市浪岡地区、藤崎町などを医療圏として急性期、慢性期の医療、健診業務、予防接種等の幅広い業務を受け持ち、地域に医療サービスを提供しております。私は平成20年4月に内科の医師として当院に赴任して参りました。以後外来、病棟、救急の医療現場で至らないながらも14年間従事し、この間当院の医療を囲む環境が大きく変化して行くことを見て参りました。

人口の減少に伴い外来、入院患者数は減少しております。平成26年より病床の一部を地域包括ケア病棟として退院準備等を行う患者さんへの病床へと転用し、急性期病棟の削減もしております。しかしながら常勤の医師、スタッフも少しずつ減り、臨床研修医も研修制度の変化に伴い募集が難しくなり、以前行っていた業務が難しくなってきています。また医療従事者の働き方改革もまもなく待ったなしで導入を検討しなければなりません。朝から晩まで、またその翌日まで病院を駆け回る献身的な医療者は「あってはならない」こととなり、救急外来やその翌日の一般診療の維持が困難になることも考えられます。一方診療報酬制度の変更に伴い当院も平成28年からDPC(診断群分類包括評価)制度に移行しましたが、特に当院のような中小病院は厳しい運営を強いられるようになってきています。さらに令和元年末から始まった新型コロナウィルス感染症による受診患者数の減少も採算悪化に拍車をかけております。

御存じの方もおられると思いますが、地域の長期的な人口減少傾向も考慮され、当院は令和元年秋に厚生労働省から再編・統合についての議論が必要な病院として病院名を新聞等で公表されております。この議論は同年末からの新型コロナウィルス感染症蔓延への対応のため中断されておりますが、国は当院のような規模の病院の統廃合を進める意向に変わりはないと思われます。

しかしながら病院はその土地の住民の皆さんに必要なインフラです。住んでいる土地で多くの方々に必要な医療を提供する病院は水道や消防と同様に採算のみでは存続・廃止を決められないものであり、公立病院がその責務を負って行かなければならないものと思います。勿論、弘前大学附属病院等の高次医療機関に紹介し診療して頂く患者さんも多数おられますが、今後も「住んでいる土地で受けられるできる限りの急性期医療提供の継続」を目指して出来得る限りの努力を重ねて参る所存ではございます。至らない面も多々感じられると思われますが患者さん、利用者各位におかれましてはご指摘頂くと共に何卒スタッフや設備等の事情もお汲み取り頂きたいと存じます。

この春弘前市では国立病院と市立病院が統合し新・弘前医療センターが発足しますが、紹介患者以外の外来受付を制限することが伝えられております。当院では受付制限はしておりませんが外来診療の待ち時間が長いことがご指摘を受けております。大勢の患者さんを正しく診療するためには時間を掛けることも必要になります。限られた医療資源で提供できる最大限の医療を提供して行くよう努力して参りますが、患者さん、ご家族の方々のご協力も必要不可欠です。まだまだ改善すべき点はある病院ではございますが、今後も適正な医療を提供できるよう努力する所存でございますので、黒石病院をよろしくお願い申し上げます。

黒石市国民健康保険黒石病院 院長 齋藤 太郎