黒石ガンマナイフセンター

ガンマナイフとは

ガンマナイフとは

脳腫瘍や脳血管病変などを開頭することなく低侵襲で治療することを可能とした定位的放射線外科治療の装置です。
当センターでは2010年7月に治療を開始して以来、これまでの治療件数は1,900例を超え、現在年間約280例の治療を行っています。症例の3/4が転移性脳腫瘍で、近年の平均寿命の伸びと癌治療の成績向上とともに増加傾向にあり、治療件数も増えています。
当院のガンマナイフ・パーフェクションは最新型の機種で、従来のガンマナイフと比べ、より正確で安全に治療が受けられるように設計されています。パーフェクションでは従来の機器では不可能であった全自動化された照射位置設定システムが装備され、治療時間の短縮のみならず、照射精度の上昇やミスをなくすことが可能となりました。特に照射精度に関して誤差は0.15㎜以内と極めて小さく、重要な組織が密集している頭蓋内でも正常な組織に殆ど影響を与えずに治療することができます。

ガンマナイフの原理

ガンマナイフの原理

虫めがねで太陽の光を集めて紙を燃やすのと同じような仕組みで放射線の一種であるガンマ線を集中的に照射することで、脳深部の病変を破壊する画期的な治療装置です。
ガンマナイフ装置のなかには192個のコバルト(Co60)が円錐状に整列して並べられており、それぞれからガンマ線が放出されて中心の一点に集中するよう設計されています。一本一本のガンマ線は非常に弱いのですが、それが集中する中心では放射線が非常に強くなります。この中心に病変を一致させ治療します。この方法により周囲の正常組織(頭皮、骨、脳、血管、神経)への被曝を最小限に抑え、病変のみに高いエネルギーを使用した放射線治療が可能となります。このため、病巣が脳の深い位置にあって摘出手術が難しい場合や開頭手術実施後にまだ病巣が残っている場合でも治療が可能です。

適応疾患

脳腫瘍

転移性脳腫瘍、神経鞘腫(聴神経腫瘍など)、髄膜腫、下垂体腫瘍、頭蓋咽頭腫、神経膠腫など

脳血管障害

脳動静脈奇形、硬膜動静脈シャント、血管腫など

機能的疾患

三叉神経痛など(三叉神経痛に関しては、2015年度より保険収載されました)

病気の種類や状態、病巣の大きさによって、ガンマナイフによる治療が適している場合と、開頭手術の方が適している場合とがありますので、総合的な判断が大切です。

主な疾患の紹介

(1)転移性脳腫瘍

病変の大きさが約3cm以下で20~22Gyの十分な放射線が照射できた場合は、80%以上の症例で病変は縮小しその状態を保ってくれます。3cm以上の病巣でも状況に応じて2回ないしは3回に分けて照射を行うことで治療する事もできます。病変が多発した場合や、全脳照射後に出現した病変でも治療可能です。治療効果が出て病変が縮小するまでには1~2ヶ月の期間が必要です。病変が縮小することで片麻痺や、構音障害などの神経症状がある場合でも症状が改善することが期待できます。しかしながら治療効果が出る過程で一時的にむくみ(浮腫)が出現して、症状が悪くなることもあります。多くの場合病変が縮小するのにあわせて浮腫も軽くなるので症状も軽快していきますが、中には悪い状態で症状が固まってしまう方もいます。これらの治療効果は、原発癌の種類、脳転移の部位や大きさ、個数、治療前の浮腫の程度や放射線治療癧の有無などで違いがあります。

転移性脳腫瘍

(2)良性腫瘍

良性腫瘍に対するガンマナイフ治療の目的は、病巣を積極的に縮小させることではなく、成長を止めて新たな神経症状を出さないようにすることです。

(a)聴神経腫瘍

ガンマナイフ治療後10年間で約90%の確率で腫瘍の成長が止まるか、縮小します。しかし、7~8%はガンマナイフ治療をしても増大してゆき、手術などの後治療を要します。副作用としての顔面神経麻痺は永続するものが約1%の割合で起きることが知られています。聴力は一般に一段階落ちます。有効聴力の温存率は約70%です。
治療後の経過は、一般的に治療後6~12ヶ月後にかけて腫瘍が一時的に大きくなり、その後に緩やかに縮小してくるという特徴的なものです。その期間に大きくなった腫瘍が脳を圧迫してくると、ふらつきなどの症状が出現する場合があります。また、ガンマナイフ治療後に脳脊髄液の循環障害から、いわゆる水頭症を呈することがあります。患者さんによってはガンマナイフ治療前からこの状態になっていることもあります。水頭症になると徐々に頭痛や歩行障害、視野・視力障害が進行するため、これらの症状出現にも注意を払う必要があります。水頭症の状態を生じた場合には、脳室腹腔短絡術とよばれる手術で治療することが可能です。

聴神経腫瘍

(b)髄膜腫

髄膜腫は存在する場所にもよりますが、ガンマナイフ治療後にむくみ(浮腫)が起きやすいことが知られています。そのため、ガンマナイフ治療の適応になるものは、手術の難しい場所にある場合や、何らかの理由で手術が不可能な症例、手術後に残存ないし再発してきた場合などです。ガンマナイフ治療後は、一般的に10年間で約80%の確率で腫瘍の成長が止まります。

(3) 脳動静脈奇形

脳動静脈奇形は、治療を行わない場合1年間に3~5%の確率で出血を起こすといわれています。ガンマナイフ治療の目的はこの異常な血管を閉塞させ、将来起こるかもしれない出血を防ぐことです。病変の大きさが約3cm以下で18~20Gyの十分な放射線が照射できた場合は一般的に80%以上の確率で完全閉塞します。ただし閉塞するまでに2~3年の期間が必要で、その間は出血が起こる危険性が残ります。また、ガンマナイフ治療後に脳動静脈奇形がわずかに残った場合でも再照射する事で完全に閉塞させることも可能です。合併症としては脳動静脈奇形が縮小する過程で浮腫が起こることがあり、この浮腫によってけいれんや運動麻痺といった神経症状が起こることもあります。けいれん発作がある場合は脳動静脈奇形が完全に閉塞しても症状が残ることがあり、その場合はけいれんを抑制する薬を飲み続ける必要があります。また、治療後に脳動静脈奇形が閉塞したあと数年してから、その部分にまれに嚢胞ができることが知られていますので、ガンマナイフ治療後に脳動静脈奇形が完全に閉塞しても継続的に経過観察していく必要があります。

治療の流れ

入院期間は原則として3日間です。

1日目 入院・治療前検査
2日目 ガンマナイフ治療
3日目 退院
退院後から通常の生活が可能です。

フレーム装着

1 フレーム装着

4ヶ所に局所麻酔を行い、フレームをピンで固定します。髪の毛を剃る必要はありません。

画像診断

2 画像診断

フレームをつけた状態でMRIやCTを行い(脳動静脈奇形の場合、脳血管撮影も追加されます)、治療用コンピューターで3次元的に病変の正確な位置を特定できるようにします。

治療計画作成

3 治療計画作成

治療用コンピューターを用いて病巣に対しての照射範囲と照射線量を決定します。

ガンマナイフ治療

4 ガンマナイフ治療

疾患の種類、病巣の大きさや広がりによって照射時間は異なります。
照射中に痛みなどはありません。お好みの音楽を聴きながら治療を受けることもできます。

治療後について

紹介元の医療機関もしくは当センターで3-6ヶ月毎に経過観察を行います。ガンマナイフは非常に高い効果が期待できる治療です。しかしながら、その効果はすぐに出るわけではなく、効果の出る過程で浮腫等の合併症が起こることもありますので、定期的な経過観察を勧めています。

準備・ご持参いただくもの

・診察券
・各種健康保険証
・各種受給者証(後期高齢者、生活保護、特定疾病認定証)
・同意書(造影剤、確約書など)
・お薬手帳
・現在内服しているお薬、頓服薬・印鑑(認印)
・入院必要物品
・個人的に加入されている生命保険会社の診断書
・お好きな音楽CD、MD(治療中におかけします)
・パジャマは必要ありません。院内感染防止のため、レンタルになります。
・紙おむつは病院で感染防止のためご用意いたします。(有料)
※その他、ご不明な点がございましたら、ガンマナイフセンターまでお気軽にお尋ねください。

治療費及び支払方法について

2泊3日の場合の入院治療費

3割負担の方    17~18万円程度
老人医療1割の方      5万円程度
※高額医療制度をご利用の方は認定証を保険証と一緒に受付時に忘れずに提出して下さい。

◎上記金額は会計窓口で支払いとなります。
 入院に関するお支払いについては入院案内に同封されている「入院診療費のお支払方法」「限度額適用認定証(高度医療費支払い)について」をお読みください。
◎入院時には保険証をご提示ください。
◎室料は個室を希望される場合は一日につき3,300円かかります。
◎生命保険会社などの文書料・診断書は1通5,500円です。ただし、書類の種類により異なります。 ※その他、費用、お支払いなどに関してご不明な点がございましたら、病院までお気軽にお問い合わせください。

ガンマナイフ外来のご案内

診 療 日 火・水曜日(事前予約が必要です)
診療時間 11:00~14:00
治 療 日 火・水・木・金曜日
問合せ先 〒036-0541 黒石市北美町1丁目70番地 黒石市国民健康保険黒石病院
黒石ガンマナイフセンター
TEL 0172-52-2121(代)
FAX 0172-52-5682
問合せ・予約受付時間 8:30~17:00(月~金曜日)

治療に関するQ&A

ガンマナイフ治療は痛みを伴いますか?

フレーム装着時にはピン固定部に局所麻酔をします。歯科治療の局所麻酔と同じくらいの痛みを伴うことがあります。痛みには個人差があります。終始、リラックスして治療が受けられるよう心がけています。

治療時間はどれくらいかかりますか?

患部や治療部位、状態により異なるため詳細は担当医にお尋ねください。
また、治療計画ができるまで、かなりの時間がかかります。その間もフレームをつけた状態で待機となります。フレームをつけた状態ですが、可能な範囲でリラックスできる体勢でかまいません。

治療中、食事はできますか?

治療終了まで絶食になります。終了後、2時間後から自由に食べることができます。

治療中、話すことはできますか?

マイクがついているので、会話は可能です。治療室内は一人ですが、隣室で安全確保のため見守っています。

治療中、トイレに行くことはできますか?

行くことができます。お気軽に声をかけてください。またリラックスしていただくため、お好きな音楽をかけします。お好きなCD・MDをお持ち下さい。

ガンマナイフ治療に保険は適用になりますか?

保険が適用になるものとならないものがあります。詳しくは医師に相談してください。
適用になる場合の2泊3日の入院治療費は3割負担の方で17~18万円、老人医療1割の方で5万円程度が見込まれます。自己負担分の食事代やパジャマ代も含まれた金額です。
※保険が適用にならない場合もありますので、ご確認ください。

治療後の生活に制限はありますか?

基本的にありません。治療翌日から日常生活に戻ることができます。
ただし洗髪は感染防止のため治療翌日から行ってください。念のため重労働や激しい運動は医師の指示に従ってください。

治療後におこる症状はありますか?

治療後に起こりうる症状、副作用は次のとおりです。
①頭部の傷の痛みは2週間から1ケ月ほど続く場合があります。
②頭部の傷の周辺にシビレや麻痺が起こることがあります。多くの場合は2~3ケ月で治まります。
③強い頭痛がある場合や嘔吐を繰り返すようなことがあれば、至急ご連絡ください。
④ガンマ線(放射線)による影響で、治療直後または翌日に一過性の嘔吐・倦怠感を引き起こすことが稀にあります。
⑤治療位置によって部分的に脱毛することがあります。
⑥創部の色素沈着を予防するため、摩擦に注意してください。
⑦紫外線を受けると色素沈着しやすくなりますので、帽子や日焼け止めの使用をお勧めします。

治療後の定期検診はどうなりますか?

治療後の定期的な検査は医師の指示通り必ずお受けください。定期検査は、紹介の元の病院でかまいません。その間、何か変わったことがありましたら当院までお問い合わせください。

受付時間について

診療科 診療曜日 受付時間 診療時間 備考
 
ガンマナイフセンター 新患       8:15~15:30 △予約制となっており、診療時間などについてはガンマナイフセンターへ お問い合わせください。
再来       7:30~15:30

※◯通常診療、△備考を確認ください。
※曜日・時間等が変更になる場合がございます。ご了承ください。
※紹介状・健診の結果等を持参された方は、受付後、各外来窓口へご提出ください。
※午後の受付・診察は、必ず各外来へお問い合わせお願いいたします。